そこは楽しい場所であり
同時に怖い場所でもあった。

小さな動物たちはとても可愛く、
鳴き声を真似して気を引こうとしていたが、
大きな動物はテレビで観るのとは違い
その迫力に圧倒され、怖さを感じていた。

しかしそれは嫌いになるということではなく、
むしろ興味を持つようになっていた。

家に帰ると図鑑を開き、
様々な種類がいることも分かってきた。

分かってくると、親しみが湧き
分かってくると、更に知りたくなり
分かってくると、好きになっていった。
ある時テレビのニュースで、
その動物園で人気の象が
高齢のために亡くなったと流れた。

考えてしまった。
動物園で生涯を閉じることが
動物にとって幸せなことなんだろうかと。

天敵がいたり過酷な自然の中であっても、
それぞれが生きる場所で暮らしたほうが
幸せなんじゃないだろうか…

そして、そこで命を全うすることが
自然なんじゃないだろうか…。
しかし
もし動物園がなければ、
僕は彼らを好きになっていただろうか?
彼らのことを一生懸命調べただろうか?

疑問はひとつも解決していない。
明日、一緒に行く息子は
ヒントを与えてくれるだろうか。
(おしまい)

※物語はフィクションです。

by Dee