息子は家に帰ると
学校のことを
何でも話してくれる。

私も
話しの腰を折らずに
最後まで聴いている。

今日は先生に
叱られたようだ。
その理由は
教科書を忘れたから。

たしかに教科書を
持って行かなかったことは
良くないことだが、
忘れることは
悪いことではない。
聴きながらそう思った。

息子は
テストの点数は良くないが、
忘れ物をしないことだけが
自慢だったので、
少しヘコんでいた。

聴き終えてから
祖母の話しをした。
遠くに住み、
90半ばになる。
お正月には毎年
遊びに行っている。

しかし3年程前から
私や息子の名前が思い出せない。
それでも顔を見ると
優しい眼差しで微笑んでくれる。

年々、
物忘れは進んでいるようだ。
だからと言って
祖母が悪いなどとは
誰も思っていない。

息子もそれを分かっていて
「人間はね、
覚えてることもあれば
忘れることもあるんだよ。」

そう話すと
「そうだね。
ひいばあちゃんは、
僕の顔は分かるもんね。」

さて、
お米を買い忘れたので
今日は何を作ろうか。

(おしまい)

※ストーリーはフィクションです。

by Dee