大学を出て、一般企業に勤めていた私には

 

2年間付き合っていた彼氏がいた。

 

 

ある日、私たちの間に新しい命が宿っていることが分かった。

 

彼に告げた数ヶ月後、もう彼ではなくなった。

 

 

夫になったのだ。

 

 

社内恋愛だったため、私は寿退職をし

 

夫は同じ会社で勤めながらも育児に協力してくれた。

 

 

長男が生まれた2年後には

 

長女も授かった。

 

 

家族が増え、育児に追われ、忙しいながらも

 

毎日が楽しく充実した日々だった。

 

 

 

長男が中学生になり、お弁当を作ることになったが

 

その時近所のスーパーでパートとして働いていた私は

 

わざわざ食材を買いに行く手間は省け、

 

食べ盛りの胃袋を満たすことに喜びさえ感じていた。

 

 

そんな矢先、夫が事故に遭い

 

別れも告げず逝ってしまった。

 

 

享年42歳

 

 

何も考えることができず

 

涙を止めることもできなかった。

 

 

ただただ、帰らぬ人のことを

 

毎日思い続けるだけだった。

 

 

 

 

あれから10年

 

生前、夫が一番楽しみにしていた日がやって来た。

 

それは、長女の晴れ着姿を見ることだった。

 

 

残念ながらその願いは叶わなかったが

 

天国で目を細めながら

 

今、成人式に出席している長女を見ているだろう。

 

 

家には家族写真がたくさんある。

 

特に、夫が撮った子供たちの写真が多い。

 

 

今はもう2人とも大きくなったので

 

あまり撮ることはなくなったが

 

 

今日の晴れの日の記念写真は

 

大事にアルバムに挟んでおこう。

 

 

(おしまい)

※ストーリーはフィクションです。

 

by Dee