ショートストーリー~「節介」~

友人と街に出掛けた。

服や靴を買ったり
ランチをしたり
映画を観たり
楽しい休日を過ごした。

そろそろ帰ろうかと
言っていた時、

あるお店の前で
人だかりが出来ていたので
興味深々見に行った。

誰かが倒れている。
年配の男性のようだ。

その人に向かって
店主が指を差し、
二度と来るなと叫んでいる。

どうしてそうなったか分からないが
男性のそばに行き、
ケガをしていないか
痛いところはないか
確認をした。

申し訳なさそうな表情で
「大丈夫…」と応えてくれた。

それを見ていた店主の
「お前らも盗っ人の仲間か!」
と、大きな声が聞こえた瞬間

友人の前蹴りが店主の鳩尾にきまり
お腹を押さえて静かになった。

可愛いスカート姿から
彼女が武道の有段者であることは
誰も想像できないだろう。

友人と二人で男性を抱え
足早にその場を去った。

「お嬢さん達、すまないねぇ。」
「いいえ、それよりおケガはありませんか?」
「大丈夫です。」

ベンチに腰を掛け
少し落ち着いたところで
男性が口を開いた。

「僕は、盗みをやってしまったのでしょうか?

実は覚えていないのですが、
商品がカバンに入っていました。

それで、店の人に放り出されたのです。」

友人と目が合った。
お互いに考えていることは分かっていた。
このままにしておくわけにはいかない。

見ないフリが出来ないんだよねぇ、私達。

(おしまい)

ACM-P

※ストーリーはフィクションです。

by Dee


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