ショートストーリー~「パーマネント」~

あまりオシャレに気を使うほうではないが
高校生の時にパーマをかけたことがある。

特に理由というものはない。

友達が可愛くしていても気にならない。
どちらかと言うと「朝が楽かな?」
くらいの気持ちだった。

美容室に行くと
とにかく色々質問してくる。

「長さはどれくらい?」
「横はこういう風にしてみる?」
「ここは緩めかなぁ?」
「芸能人では誰みたいな感じ?」

何も考えてなかった訳ではないが、
思った通りになるとは期待していないので
曖昧な返事をしていた。

今思うと
困った客だったんだろうなぁ…。

カットだけとは違って
とても時間が掛かった。

楽をするのも楽じゃない。

そんなこんなで仕上がった髪型は
一言でいうと「おばさん」だった。

オシャレに気を使わないし
思った通りになると期待もしていなかったが、
さすがにショックは大きかった。

“二度とパーマなんてかけるかぁーっ!”
固く心に誓った。

家に帰ると
祖母がお茶を飲みながら
おせんべいを食べていた。

「ただいまぁ」

祖母は私を見るなり
おせんべいを噴き出した。

「どうしたのその頭!」
「別に…」
「別にじゃないでしょう!
パーマネントなんかして!」

怒られてる状況ではあるが、
なぜか可笑しかった。

「何が可笑しいの!?」
「大失敗したからもうしない。」

それを聞いた祖母の顔に
微笑みが浮かんだ。

「失敗じゃないわよ。
ちょっと早かっただけ。
もう少し大人になったら綺麗になるわ。
私みたいにね。」

(おしまい)

※物語はフィクションです。

by Dee

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