体調を崩して見えたもの

同僚に言わせると、私は半年に一回ぐらいのペースで寝込むらしい。体調管理ができずに情けないのだが、先日4日間ほど頭痛と吐き気で仕事を休んだ。

一晩ぐっすりと寝れば翌日には元気になるだろうと思って布団に入るのだが、なかなかすっきりとしない。とにかく、ひたすら寝るようにした。すると普段経験しないようなことが起こり、びっくりした。

「短編の夢をいくつも見る」

ショートムービーを見続けているかのように。子どもの頃に住んでいた街の面影があるような場所だったり、会ったことがあるような人が登場したり。ストーリーは、追いかけられるもの等あまりハッピーな内容ではないことが多く、目覚めたときに「ああ、夢でよかった。」と胸を何度なでおろしたことか。

夢の中に出てくる人は今までの人生で出会ったことのある人ばかり、と言われているが本当だろうか。

「ハミガキをしたくなる。無性に。」

身体が動きにくいので、普段あたりまえにしていることがしにくくなる。食事がほとんどとれず、口の中が変な感じになる。プリン一つの量が、額に汗をかくほど食べるのが必死な量となり、大好きな甘い味が苦い味になる。こんなにまずかったっけ?と首をかしげる。そんな状態で寝ていると、ハミガキできないことがどんなに不快なことなのか思い知らされる。ああ、口腔ケア、もっときちんと丁寧にしてきたらよかったなあと実感するのだ。

寝込んだら口の中を意識して清潔に。自分でできなかったら余計に。

「また調子が悪くなるのではないだろうか?という恐怖」

頭痛もおさまり、動けるようになるとうれしくなるが、根を詰めるとまた気持ちが悪くなる瞬間が二、三度あった。そのときのドキドキ感は意外と大きく、まだ無理はできない、動けない!と一人動揺していた。

良くなったと思い込んでいるだけに、本調子じゃなかったことにショックを受ける。

そして

身体が回復すると、こんな感情がポッと湧き上がってくる。

「誰かのために何かしたい。」

家族のために洗濯をしたり炊事や掃除をしたり。

ご利用者、仕事仲間の顔が思い浮かぶ。

生きていることが誰かとつながっているんだと再認識する。
誰かが作った服を着て、その服を作る工場はまた誰かが建てたもので、
その工場を作った材料は違う誰かが作ったもの。
誰かが作った車に乗って、誰かが作った道路の上を走り回る。

みんなで作ったこの街に、身体をぐんと伸ばしながら出かける。
明日もあさっても。

そうそう、体調を崩していたときに一番辛かったことを忘れないでおこう。

それは「考え事ができない」ということだった。

だからあれこれ考えることができるうちは、なるべく自分の頭の中にあることをかたちにして残しておきたい、と強く思う。

(投稿者@PAO)

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