都会には何でもある、と思っていた。
しかし無いのだ。
いくら探しても、どこのお店にも
あのソースが無い…。

私が生まれ育ったところでは、
それは定番であり
どこの家庭でも使っていた。

田舎にあるのだから
都会には当然あるだろう、
という自分勝手な思い込みは
1軒1軒回るごとに打ちのめされていた。

「人は食に対して保守的である」

誰かの言葉が思い出された。
全くその通りである。
私はあのソースを手に入れたいのだ。

単に味だけのことではなく、
そこには生活や文化、
思い出や育った環境など
色々大切なものが
詰まっているのかも知れない。

だから保守的になるのか?

そんなことを考えながら
田舎に電話するのであった。

「もしもし、オレ。
あのソース送ってくれない?」

「はあ?これって
オレオレ詐欺の電話かい?」

確かに、詐欺が多いから
気を付けるようにと
言ったことはある。

しかし、ソース送れとは
言わないだろう…。

(おしまい)

※物語はフィクションです。

by Dee