ショートストーリー~「トロフィー」~

「いつも勇気をもらっています。」と
言われることが、以前より多くなった。

特別なことをしているとは思っていない。
ただ、この年齢で現役選手を続けている人は
周囲にはいなくなった。

子供の頃は強くなりたかった。
負けたくなかった。
上手になりたかった。
それだけで練習をしていた。

初めての公式戦で
なんと優勝してしまった。

自分が一番強かったというよりは
非公式試合で負けた悔しさを練習にぶつけ
その結果がこのトロフィーになったと思うと
それまで頑張ってきたことが
認められたという嬉しさがあった。

あの頃も今も変わってはいない。
強くなりたい
負けたくない
上手になりたい

いや、少し変わったかも知れない。
相手だけではなく自分にも負けたくないのだ。

そして
誰かのために現役を続けている訳ではないが、
結果的にそのことが誰かの励みになり
その方達の声援が、
自分の背中を押してくれている。

何にも代えがたいトロフィーだ。

(おしまい)

※ストーリーはフィクションです。

by Dee

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です