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ショートストーリー

ショートストーリー~「ツリー」~

いつもこの季節は みんな笑顔に感じられた。 今まではそれを恨めしく眺めていた。 もちろん、ひがみ根性であることも 自分で分かっていた。 しかし今年は違う。 私も笑顔になっている。 電飾がついた大きなツリー。 うつむいて通 …

ショートストーリー~「パーマネント」~

あまりオシャレに気を使うほうではないが 高校生の時にパーマをかけたことがある。 特に理由というものはない。 友達が可愛くしていても気にならない。 どちらかと言うと「朝が楽かな?」 くらいの気持ちだった。 美容室に行くと …

ショートストーリー~「電報」~

都会で暮らしてみたかった。 それが大学に入った理由だ。 もちろん、勉強したいこともあり 就職にも有利かなという思いもあった。 しかし農家の長男である僕は、 跡を継ぐという宿命を背負って生まれた、 と言っても過言ではないだ …

ショートストーリー~「初節句」~

目に入れても痛くないほど… という例えのように 孫はかわいいものだ。 特に、会う人会う人が 「あらぁ、じいちゃんに似てるわねぇ。」 と言っているのを聞くと なぜだか嬉しくなってしまう。 初節句は数か月後。 こちらも“じぃ …

ショートストーリー~「腕時計」~

11歳の誕生日、 親からのプレゼントは腕時計だった。 初めて自分の腕時計を手にした僕は、 少し大人になったような気がした。 黒い革のバンドに丸い緑色の文字盤。 それこそ、時が経つのも忘れるほど眺めていた。 普段、学校へは …

ショートストーリー~「在る」~

一本の松があった。 それまで気にすることはなかったが、 ある日を境にその存在は 私の中で大きな意味を 持つようになった。 何十年もの間、 自然の脅威にさらされながらも 深く強く根を張り その場所に在り続けている。 大きな …

ショートストーリー~「替え歌」~

子供の頃は童謡や歌謡曲を よく替え歌にして歌っていた。 今思えば とてもつまらない歌詞なのだが、 なぜか当時はそれだけで 時間がつぶせるほど 盛り上がっていた。 時にはきつい表現も 入っていたりするが、 それも子供ならで …

ショートストーリー~「坂道」~

傾斜がきつい坂の途中に住んでいた。 小さな港町で海沿いは平地になっているが、 商業、教育、行政、交通機関が占めており 住宅地は山沿いに開けている。 小・中・高は、坂を上り下りの通学が 当たり前の光景だった。 大学進学を機 …

ショートストーリー~「壁」~

「家庭の事情」と言えば良いのか、 子供の頃のことは あまり思い出したくない。 自分の居場所がなく 分かってくれる人もおらず いつも一人だった。 正確に言えば「ヒト」は居た。 しかし 心が通じる「人」ではなかった。 だから …

ショートストーリー~「思いで」~

休みの日には 彼女とよくドライブに行った。 それは彼女と結婚してからも 同じだった。 海へ 山へ 観光地へ 名所へ ・・・ テレビ番組を観ていると 以前訪れたところが 映っていたりするので、 「ここ、行ったよねぇ」 と話 …

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