日々是好日

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囲碁が好きな利用者さんと対局したくて、iPadの囲碁オンラインゲームに助けられながら、生まれて初めてこの手で碁石を打ってみたのは昨年初夏のこと。

おおまかなルールを覚え、なんとか利用者さんと碁盤を挟んで座る時間を作ってきた。

囲碁の対局を通してのコミュニケーション。研ぎ澄まされた空気に包まれ指先に碁石を持っていると、なにげない日常会話もいつもと違って感じる。

相手の心の変化を読み取りながら密度の濃い時間が流れていく。

そんな囲碁の世界から生まれた言葉に「岡目八目」がある。

人の碁をわきから見ていると、打っている人よりも八目も先まで手が読めるということから、第三者は当事者よりも情勢が客観的によく判断できるという意味である。

困難な問題を抱えながら生活する人がいて、専門職として支えようとするとき、最初は岡目八目、冷静にその方とまわりに在るものを見つめる。

そして情報を集めて分析し、関わっていく中でいろいろなことが見えてくると、逆に見えなくなってくるものもある。

そんなときは、私のことを岡目八目で見てくれる人の存在が必要なのではないかと、ふと思う。

めざすべき方向をしっかりつかまえながらも、時には第三者の声を聴き、新しい風を自分の中に取り入れる。

文字で書くと簡単だが、実践するのはなかなか難しい。

なぜなら、自分が揺らぐような気がするから。

まっすぐ前だけを向いて進みたいのに、このまま走り続けることの意味を考えてしまうからだ。

だから一番欲しいのは、その揺らぎを楽しめるぐらいの心の余裕と強さなのではないかと自分に問いかけている。

素直に人の話を聴き、進むべき道の選択肢を豊かに広げてみたい。

投稿者 PAO

 

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