自己同一性は、脳のはたらき

養老孟子先生や内田樹先生も同じようなことを仰っているのですが、福岡伸一先生の「動的平衡」という概念に触れて、私は膝を打つことができました。

「自分の体は、自分のものではない。半年たてば、自分の体を構成している原子はすっかり食べたものと入れ替わっている。」というものです。

福岡伸一先生は、生物学者。現在は、青山学院大学の教授です。つまり、理科系の研究者ですね。ですから、上記の「入れ替わっている」という言説も、きちんと根拠を示しておられます。

簡単に言えば、昨日の私と今日の私は、入れ替わっている最中。どこかが違っているはずで、まったく同じ「私」ではないということになります。

不思議ですね。養老孟子先生は、それでも同じように思えるのは、脳の働きが「自己同一性」を与えてくれているからだと説明を加えておられます。

目の前で起きる事象は、「事実」で変化しない。変化しているのは「私」の方である。そのように考えて、今日という日を過ごしてみるのも楽しいのかもしれません。

2022 年 春   吉島豊録

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