蛇口から水が出ない生活を想像できますか?

周防大島(山口県)は人口17,000人弱、面積138㎢余りの瀬戸内の離島で、本土とは全長1㎞ほどの大島大橋一本で繋がっています。去る10月22日未明に外国船がこの大島大橋に衝突すると言う事故が起こりました。この橋に水道の送水管含むインフラが整備されていたため、事故により断水や交通規制など甚大な被害が長期にわたり続く形となりました。

この度、島の岡原先生に『40日間の断水と交通規制がもたらした影響』に関して拝聴する機会を得ました。

 

①島の中で一体感がなくなったこと

・勝ち組・・・井戸水で通常の生活が継続できた

・引き分け組・・・井戸水はあって生活用水は確保できたが、引用水が入手困難

・負け組・・・全ての水が入手困難

これによって、課題の緊急性や優先順位に対して感受がバラバラで行政も対応がまちまちとなったため、島の人々が分断された。

②生活の課題

・排泄:水洗トイレ(最新のタンクレストイレはまず使えない、タンク付きは水を入れれば何とか使える)  、手がしっかり洗えない

・食事:調理用、炊事用の水不足、食の確保、食器が使えない、低栄養、脱水、フレイル・サルコペニアサイクル

・清潔:入浴できない、清拭できない、手洗い、保清、整容、‥

・メンタル:不安、混乱、自信喪失、ストレス過多…

・上記がもたらす健康状態への命さえも脅かす悪影響

・洗濯ができない:コインランドリーは島に3箇所しかなく(午前3時頃〜)行列ができる、そのためみんな睡眠不足

・水の確保に要する余分な時間が必要、またポリタンクを抱える身体的負担増(腰痛等)による健康被害

・日常生活の失敗体験:つい水道の蛇口をひねってしまう習慣‥失敗体験の積み重ねがうつ傾向をもたらす

③労働環境

・通勤:交通規制により通勤時間の延伸、もしくは通勤困難・帰宅困難、船での通勤‥ストレス、欠勤者、退職者続出、慢性的人員不足、一方で超過勤務、過重勤務、など従事スタッフへの負担増

④行政

・デイサービス:島内の18事業所のうち2事業所が浴室を稼働できた。他事業所や一般に開放を依頼したが『法令違反』との判断(県の長寿社会課、介護保険課)で解放が許されなかった‥事故であり‘被災ではない’との判断

・防災無線・放送:水道管に井戸水をつなぐことは法律違反です!!と広報し続けた‥絶望感にも通じ気持ちが荒む、暖かい応援メッセージの方が心が和む

⑤ボランティア:受け入れるためにはコーディネーターが必要→適切につなぐ存在がないとボランティアも受け入れる人たちも不幸になる。ボランティアにもいろんな人がいる→基本的には自分勝手(中には押し付けや受け入れられないことに対して恫喝も‥)

 

あたりまえに水が出ることがあたりまえでなくなった時、小さな島の中ではこんなことが起こっていました。。。

※後に災害コーディネーター指導者のドクターから聞いたのですが、実は『本件は事故だから災害認定できない』は誤解でした。災害認定は‘災害にスイッチを入れる存在’があれば可能だったということです。非常災害下で必要な支援が本当に必要なところに届かなかった…やるせないです。

 

現在、水道も交通も再開しました。復興に向けて様々な支援の動きが起こっています。島の夕日は綺麗です、美しい瀬戸内の風景に心が洗われます。一度訪れてみませんか?

http://www.town.suo-oshima.lg.jp/syoukoukankou/t20181207_1_3.html

 

@くんちゃん