その植物について私が知っていたこと。
・夏から秋にかけて紫色の小さな花を咲かせる。
・生命力が強く、そこらじゅうに生える。
・マメ科の多年草。
・種が服や靴につくと離れにくい。
・ひっつき虫と言えば、たいてい通じる。

先日、博物館で正式名を見て驚いた。
「アレチヌスビトハギ」というらしい。
なんと覚えにくい名前だろう!

コンスタンティヌスとかアントニヌスのようなローマ皇帝の名を連想する。
その晩、フェイスブックで友達から「盗人萩と書くと覚えやすいですよ。」と教えてもらい、なるほどと調べてみたら、本当に漢字にすると荒地盗人萩と書くのだった。
不名誉すぎて、ひっつき虫が気の毒になった。いや、ひっつき虫という呼び名も、ちょっとあれなのだけど。

盗人。いったい何を盗むというのか。そう考えるとおかしかった。
服についた種を一つ一つ取るのに非常に手間がかかるから、盗むのは「時間」かな。
他の人がどう推論するか興味があったので、次の日職場の80〜90代のご利用者の方々と、荒地盗人萩について語り合ってみた。紙を広げて。出てきた言葉をどんどん書いていき。

「盗むのは何だと思いますか?」
「人の目!」・・・いつのまにかくっついているから。
「土地!」・・・繁殖力が強いから。

「では、なぜ種がくっつくのでしょう?」
子孫を残すためという理由の他にこんな答えが返ってきた。
「さみしいからだと思う。」
別の方が「誰にでもくっつくから、社交家ね。」と言った。

社交家。盗人というマイナスイメージが、一転して良い響きになり思わず場が和む。

ひっつき虫をブローチに見立てて服につけ、お洒落ごっこを楽しんだ子ども時代を思い出したり。

「ひっつき虫と言えばキツネノハリ。」と発言された方もいた。センダングサのことをそう呼ぶ地方もあったらしい。狐が裁縫をしている様子を想像して、皆んなで笑った。こんな微笑ましいネーミングなら可愛いが。

もともと盗人萩という名の植物があり、泥棒の足跡に種の形が似ていることが由来だとか。

花言葉は略奪愛。
強烈である。
最初は絶対覚えられないと思っていたけど、二度と忘れられない名前になった荒地盗人萩。

(投稿者@PAO)