鮮明に浮かぶ記憶がある

呼吸状態の悪化に伴い

死期が近づいていることがわかる人の

救急搬送を急いでいた

かなりの酸素を使っていたが

救急車の酸素対応は半分となり

そうすれば一気に呼吸状態は悪化する

早く病院に運んでほしいと願う

ただそれだけだった

救急隊が到着してから

救急隊と私の

度々ぶつかり合うやりとりを

聞いていたその人は

私に微笑んで言った

「診察券はありましたか?」と

その微笑みは私一人に向けられたものだった

私が応えると「よかった。」と言って

安堵の笑みになった

相手への配慮よりも何よりも

いまの状態しか見えなくて

余裕がなかった結果

間に合う搬送ではなくなった

あんなに呼吸が苦しい中でも

思いやりをもらったのに

私は何ができたのだろう

そのときに、時を過ごしていた私には

わからないと思うことも

時間とともに想像し

見えないものも

聴いてみたくなる

なんて応えてほしいのか

@マーブル