「いろはにこんぺいと こんぺいとは甘い 甘いはお砂糖」

ふと口ずさんだこの歌。そういえば最初の出だしの言葉がタイトルの、漫画があったな。今NHKで放送している連続テレビ小説に出てくる漫画家の、実際のモデルになった人の作品。

私は中学から高校にかけて、漫画家をめざしていた頃があった。

テレビのドラマのヒロイン達がケント紙にペンを走らせ、筆で黒く塗ったりして原稿を仕上げる。当時あれと同じことを、コタツに足を突っ込んでラジオの深夜放送を聴きながら行っていた。一枚完成させるのに3〜5時間かかっていたように思う。そこに至るまで、まずストーリーを考えるのが一番大変だった。人物設定、ネームと呼ばれるセリフを悩みながらノートに書き、、、。

画材店のペンやインク売り場が大好きだった。萩尾望都にあこがれて漫画家になりたかった少女は、いつのまにかケアマネジャーになっていた。人を観なければ仕事にならないということは共通している。

かつて紙の上で誰かの人生のかけらを表現していた。
今は、想像の人物ではなく実際に存在しリアルに生きる人達の生活を、ご本人と一緒に創造していく仕事をしている。

太陽の光に照らされて額に光る汗。丸い背中。杖を握る皺を刻んだ手。白くフワフワの髪が風に揺れる瞬間。履き潰したクツ。散歩の途中で摘んできた花。日常なにげなく目に入ってくるまわりのものに、ハッとするときがある。「絵になる」と感じたとき、私の中にもう一人の私がいる。

起承転結。私の人生の物語は今どのあたりだろう。

とりあえずコーヒーでも飲もう。お砂糖を入れて甘くして。

(投稿者@PAO)