迷惑
子はその成長の過程で、
「親に迷惑をかけて」生きているとは思わない。
親もまた自身の子育ての過程で、
「子に迷惑をかけられた」と思うことはない。
親になって初めて「随分迷惑をかけてきたなぁ」と気付かされはっとする…
「ひとに迷惑をかけないように」を信条として育てられたわたしは
ひとに迷惑をかけると言うことがどんなことかを、ひととの関わりの中で学ぶ。
「迷惑」と言う感情は、ひとの価値観に所以する…
そのひとのことを思い、そのひとの生き方を追い、そのひとの背景に想いを馳せる。
母ならきっとこう思う、母はきっとこう言うだろう…
ずっとずっと…母の背中を追い、母の仕草を見て生きて来た。
だから、母の思う迷惑とわたしの思う迷惑は似ている。
今日も電話の向こうの母に、泣き入るような声でこう言われた。
「あんたばっかりに迷惑をかけて申し訳ないね」
迷惑なんかかかっていないよ、迷惑なんて…、申し訳ないなんて言わないの…。
そう答えながら泣けて来る、そう言わせた自分を歯痒く思う。
人生も薄暮に差し掛かった母に「迷惑をかけた」と言うことばを選択させたくないと願う…。
一所懸命育てた母と、一生懸命生きて来たわたし。
わたしはあなたの娘です、こんなに大きくなったのは
あなたに迷惑をかけながら、ひとに迷惑をかけないように育てられたおかげ。
母の光は一等明るくわたしを照らし続けていて欲しい、
そしてわたしもまたそうありたい。
@くんちゃん