迷惑

子はその成長の過程で、

「親に迷惑をかけて」生きているとは思わない。

親もまた自身の子育ての過程で、

「子に迷惑をかけられた」と思うことはない。

親になって初めて「随分迷惑をかけてきたなぁ」と気付かされはっとする

 

「ひとに迷惑をかけないように」を信条として育てられたわたしは

ひとに迷惑をかけると言うことがどんなことかを、ひととの関わりの中で学ぶ。

「迷惑」と言う感情は、ひとの価値観に所以する

そのひとのことを思い、そのひとの生き方を追い、そのひとの背景に想いを馳せる。

母ならきっとこう思う、母はきっとこう言うだろう

ずっとずっと母の背中を追い、母の仕草を見て生きて来た。

だから、母の思う迷惑とわたしの思う迷惑は似ている。

 

今日も電話の向こうの母に、泣き入るような声でこう言われた。

「あんたばっかりに迷惑をかけて申し訳ないね」

迷惑なんかかかっていないよ、迷惑なんて、申し訳ないなんて言わないの

そう答えながら泣けて来る、そう言わせた自分を歯痒く思う。

人生も薄暮に差し掛かった母に「迷惑をかけた」と言うことばを選択させたくないと願う…。

一所懸命育てた母と、一生懸命生きて来たわたし。

わたしはあなたの娘です、こんなに大きくなったのは

あなたに迷惑をかけながら、ひとに迷惑をかけないように育てられたおかげ。

母の光は一等明るくわたしを照らし続けていて欲しい、

そしてわたしもまたそうありたい。

 

@くんちゃん

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