背中
「肩凝りがひどい…」と娘が言う。
私も10代の頃から肩凝りがひどかった。
どこが痛いの?と聞きながら、背中をさする。
成人して十年も経ち、幼い頃の面影はすっかり無くなったと思っていたが、その背中から幼い姿が一瞬でよみがえってきた。
私の大切な宝物、懐で守りながら育てた子育て時代。
今の自分を思うと、あの頃の自分も頑張ってたなぁと、ふと涙が出そうになった。
10代の終わりに親離れ子離れし、それから10年あまり。親離れ子離れした母娘は、互いをいたわりあいながらまた共にいる。時代が移り変わり、繋がりの形を変えて、また母娘で寄り添い続ける。
こうして二巡三巡しながら私は徐々に年を重ねていくのだろう。
感傷に浸る心を娘に悟られないように「湿布、貼ったわよ」と明るく声をかけて私の一瞬の走馬灯が閉じた。
(投稿者@まるあ)