土曜の昼下がり、珈琲焙煎店の前で。
毎週土曜日の日課である珈琲豆の買い物をすませて、店先でふと足元を見たら。
小さなサボテンが浮いていた。宙に浮かんでいたということではない。地べたに這いつくばるようにコンクリートの隙間を彩るマンネングサの真ん中に、サボテンが一本だけニョッキリと生えていた。
「こんなところになぜ。」そう思った。
場違いのような、あるべきではないのではないかというような、居心地の悪さ。
でも私はサボテンではない。
本当のところはわからないが、もしこのサボテンが目立ちたがり屋だったら。
「いえーい。めっちゃ、このトゲかっこいいでしょ。見て見て!」ってめだつことを喜んでいるかもしれない。
恥ずかしがり屋だったら。
同じような仲間のところへ一刻も早く植え替えてほしいと願っているかもしれない。
あるいは、「わたしたち、同じ多肉植物よね。仲良くしましょうね。」と共存しているのかもしれない。
普段何も思わず通り過ぎていく場所で、違和感から始まり物語が生まれる。
(投稿者@PAO)