日々是好日
追い詰められて「もうだめだ。」と思うような状況になったとき、それまでは考えつかなかったアイディアや発想の転換が突如として生まれることがある。その瞬間目の前がパーっと明るくなり、なにもかも順風満帆にいくよりもむしろ結果は面白くなるような気がする。
今年の桜の花見がそうだった。 満開になったのに雨続きで気温がぐっと下がり、外でお弁当を広げられない。青空の下、ポカポカ陽気に誘われて桜の花を見ながらお昼ご飯、という計画は実行できそうになかった。てるてる坊主も作ったというのに。
ふと考えた。 いっそのこと雨の桜を楽しんでしまえ、と。 晴れた日には味わえない、美しい佇まいを発見できるのではないか。
事業所でマイクロバスを確保しお弁当を予約した小雨の日、我々は「お花見」を「さくらパーティー」に変更した。
しっとりとした桜の花を観ながらドライブ。寒いので短時間だけ車の外に降りて記念撮影。帰ってきたら、ピアノを弾ける職員に桜の曲を演奏してもらう。そして、桜にまつわる四方山話。花言葉や、桜に関する美しい日本語の紹介。お昼の幕の内弁当は花びらがデザインされた和紙に包まれ、これまた桜の花がついた箸袋が添えられる。ランチョンマットも桜の花。 桜の句を読む。 そして大きなスクリーンが登場し、興味津々で見つめる利用者さんの目にプロジェクターで映し出される全国の有名な桜の写真が飛び込む。ライトアップされた夜桜も。最後にこの日の朝から撮りためた、利用者さんと職員と桜の写真を皆で共有して一日が終わった。
たぶん晴れてたら、お花見だけでおしまいになっていたと思う。いろいろ工夫してかえって心に残る日になった。
うまくいかないときや苦しいときは、きっと「成長」と書かれたハシゴが上から下りてきているのだ。それをつかめるかどうか試されている。何に試されているのかわからないけれど。ハシゴは誰のところにも平等に下りてくる。いくつになっても成長できる。その証拠に私の周りにも、ピンチを切り抜けて笑っている人生の先輩達がたくさんいるのだから。
投稿@PAO