日々是好日
近頃の炊飯器には、「ケーキ」や「パン焼き」という機能もついていてびっくりする。
ホットケーキミックスを使った簡単なケーキなら手軽にできそうだ。期待に胸膨らませながら材料をセットして「炊飯」のボタンを押した。
パンは発酵という作業が面倒そうである。これはやはりホームベーカリーの方が便利だろう。待っているだけでおいしいパンが焼き上がる。
待つ、、、。どのくらいの時間待てば、どのような結果があらわれるとはっきりわかってる場合、時間の経過はそれほど苦痛ではない。その間にこれをしよう、あれをしようと考えながら、時計の針が進むのを楽しむことができる。 だが、この先どうなるのかわからず、どのくらい待てばいいのか検討もつかない状態になったとき、ほとんどの人は不安になるのではないだろうか。 できれば早く安心したい。対人援助の仕事をしていると、「相手が自分で決めるのを待つ」という場面に日々向き合わされる。自分だったらこうするのに、と思う。でもそれは私だったらそう思うのであって、目の前の人はそう思わないかもしれない。 「一緒に食パンを焼こうね」と夢描きながら、ある日突然「やっぱりフランスパンにする。」と言われることだってある。もしかしたら最初からフランスパンが食べたかったのに、私が気づけず食パンをすすめてしまったか。いや、本人も知らない真の気持ちに途中から目覚めたか。それとも、何かの変化が起きて、新しい選択をしたのか、、、。 私は戸惑いながらも、今まで見たことがないような生き生きとした表情で前を歩くその人の姿に感動するのだ。 もしかしたら、人間は誰かが待っていてくれると安心できると、自分で決められるのかもしれないな。
炊飯器から甘い香りが漂い、りんごのホットケーキが焼き上がった。
投稿者@PAO