「アローチャートが私に見せてくれたもの」(会員投稿;その1)

母はいつも座布団に糊のきいた真っ白いカバーをかけていた。

その糊は、鍋で古くなった米をドロドロになるまで煮立て作ったものである。

部屋の中の火鉢には火が入り、周りに真っ白い座布団を置く。

母と姉が火鉢のまわりに座り、火鉢に手をかざし暖をとる。

閉め切った部屋は、それなりに暖かかった記憶がある。

今は、娘の顔もはっきりしていない母である。

いつも冬になると思い出す、胸が痛くなるほどの冬のワンショット。

1日の時間が、ゆったりと流れていた。

 

アローチャートに出会い、その方の生活史に耳を傾け

輝いていたときの姿を思い浮かべる時、生きてきた証しを共に探る時、

いつも、この風景がまぶたに浮かぶ。

元気な母と姉がいつも自分のまわりにいた懐かしい時である。

この穏やかな時間の流れの場面には父の姿は出てこない。

父は、夜遅くまで働き、明るい日差しの中にはいなかったのである。

アローチャートは、自分の生きてきた証しを心にきざんでくれたと思っている。

 

(投稿者@薔薇)


ハンドルネーム・薔薇 様
ご投稿いただきありがとうございました。
(広報部)

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