雨やどり
「19歳の時、第3倉庫の横の田んぼにいたあの人が雨宿りをしに来てね、それが最初の出会いよ。」
「亡くなってから見つかった日記には二人の思い出がたくさん詰まっていてびっくりしたわ。」
「年に不足はないから早く天国に行ってもう一度手をつないで歩きたい。」
「でも天国に行くのは年明けに生まれるひ孫を抱いてからね。抱いた感触を確かめてそれを伝えてあげなくちゃ。」
介護保険更新のアセスメントで紡がれる物語
高度な大動脈弁狭窄症のため、ひ孫を抱くことは叶わないかもしれない…。
悲しい客観的事実がプラスのアンビバレントを邪魔する。
『今』を問うと、寂しさもドキドキもまぜこぜにしてから、「今がとても幸せ」というプラスの主観が返ってきた。
マイナスの情報をオセロみたいに次々プラスに変えていく魔法の言葉を最後に呟いて、
今日の物語は、
終わり。
(投稿者@まるあ)