背中を押す
ジャンプ台に立つと
周りに沢山のスタッフがいるのに、そこには自分1人しかいないような気がして
全身が震える。
77m下に川の流れが在る。
(これだけしっかり固定してあるから大丈夫)
(地面までは届かないから…)
自分に言い聞かせるごとに大きくなる不安。
躊躇っている間に始まるカウントダウン。
「行きましょう!!カウントダウン 5、4、3…」
(もう飛ぶしかない)
覚悟を決めて目をつぶる。
「…3、2、1 バンジーーーー!!」の声と同時にそっと背中を押され、ジャンプ台の縁を蹴る。
自分のタイミングで、と思うといつまで経っても飛ぶ事は出来なかったと思う。
「はじめて」のことに不安は付きものであり、最初の一歩がなかなか踏み出せないのは、きっと私だけではないだろう。
何度もロープの固定部分を確認し、カウントダウンを始めてくれたスタッフの声が
私の背中を押してくれたから、風をきって飛ぶ心地よさを味わうことができた。
一生に一度の経験をする事ができた。
何かをやろうとするとき
何かをやらなければいけないとき
誰かのジャンプ(挑戦)のためにそっと背中を押してあげられる、そんな「ひと」でありたいと思う。
(投稿者@Hanna)