幼くして両親を失い、
大好きだった聡明な兄を戦禍に失くし、
頼れる親戚にも恵まれず、
孤独の中でひとりを生き抜いて来た。

やっと巡り逢えた優しい伴侶と築いた小さく約しい家庭、
3人の子宝にも恵まれた。

皆で囲む暖かい夕餉、
自慢の手料理と家族の笑顔、
そのひとが夢に描いた幸せのカタチ。

困窮と相次ぐ病魔の中にあっても、
なによりも大切なものは家族。

それはそのひとの決意を伴う‘信念’だった。

大切なそれを守り抜くために、
自身の身体も顧みず昼夜を問わず働き続け
3人の我が子を育て上げたそのひとは、

ずいぶん小さくなった。

(つづく)

@くんちゃん