アローチャートで社会調査~ケアマネ必要論宣言!(了)

ご無沙汰しております。 アローチャートで社会調査。完結編です。

拙い研究にお力を貸していただいた方々のおかけで、なんとかまとめ上げることができました。研修のための調査であるということもあり、先行研究も調べぬまま走り出しました。今となってはきちんと手順を踏まなければいけなかったと反省しております。

しばし拙い研究にお付き合いください。

では、最終稿です。

ケアプランの根拠は見えますか?  ~アローチャートを用いたケアプラン作成~

Memi

あなたの近くにはケアプランが存在していますか? そのケアプラン、どのような根拠をもとにして作成されていますか? A県のB市ではこの3年間で3億円も介護保険給付額が増えています。要介護認定を受けた高齢者は155名の増加。 要介護高齢者が多くなったからこれだけの額が増えたとは考えにくくはないでしょうか。年を重ねるごとに多くの介護が必要になってくるということは考えられます。その方にとって必要な介護保険サービスが増えることは問題ありません。もし、不必要なサービスや過剰なサービスが増えていて、介護保険給付を圧迫しているとしたら…どうでしょう。介護保険自体の破綻につながりかねません。 ケアマネジャーは一人あたり1年間に1億円もの公費を動かしています。ケアマネジャーは根拠あるケアプランを作成し、誰に対してもケアプラン内容を説明できることが求められています。

ケアマネジャーはその方らしい生活を送ってほしいと望んでいます。 そのために必要な介護保険サービスを提案します。 しかし、どのようにそのサービスが提案されることになったのか、根拠をお話する機会は少ないのかもしれません。 根拠が明確でなくてよければ介護保険サービスは使いたい放題となり、介護保険は破綻の一途です。ケアマネジャーは必要ない存在になってしまいます。

アローチャートを使ってケアプランを作成すると、どうなるのでしょう? 実際にアローチャートを用いてケアプランを作成している4名の方にインターネットを介して個別にお話を伺いました。なるべくご協力いただきました方の言葉を使い、簡潔に整理しました。

①アローチャートを用いる前後でケアプランの内容の違いはありましたか?

★内容についての大きな違いはありません。ニーズと目標とサービス内容に整合性はとれているか?についてはかなり意識するようになりました。
★解決すべき課題と、それを短期目標に転じていく際に、具体的で、明確化しやすくなりました。
★ニーズや目標について、「ダブる」ことがなくなり、ごちゃごちゃしていたものが、すっきりわかりやすく作成できるようになりました。
★短期目標を、それまで以上に意識することができるようになりました。

どの方も内容に大きな違いはないものの、整理したケアプラン作成につながっていました。整理されたケアプランということはわかりやすいケアプランということではないでしょうか。

②ケアプランの根拠を説明する際に違いはありましたか?

★担当者会議の際に、本人の状態や状況から、根拠を説明し、ケアプランやサービスについての根拠も伝えるようになりました。
★モニタリングなどにおいて、事業者には何を見て欲しいのか、本人、家族には今がどのような状況であるかをより理解でき、何のためにどのような状況を目指すのかを伝えやすくなりました。担当者会議での原案説明が容易になりました。
★元々、口頭説明でしたが、アローチャートを提示しながら説明することで、誤解が減ったのではないか、こちらの意図が正確に伝わるのではないかと思っています。
★アローチャートを用いることで、ケアプランを口頭で説明する以上に、相手に納得してもらいやすくなりました。

ケアプランの根拠を説明するようになった方から、以前より説明はしていたが、それ以上に相手に納得してもらいやすくなった方までいらっしゃいました。介護保険サービスはチームでの支援です。チームでの目的が明確化されればされるほど支援は具体化されていき、良い支援となるのだと思います。

③根拠を可視化することで利用者、家族、事業所に変化はありましたか?

★今のところ、目に見えたり、言葉をもらったりという変化はありません。担当者会議では目標やサービス内容を理解してもらっていると手応えを感じられるため、進行がスムーズになったような気がします。
★分かりやすいという言葉を聞きます。特に描きながら説明をすることで、担当者会議で、本人、家族も意見を出しやすく、事業者も自分に関わる部分だけでなく、全体を見て意見を出してくれるようになりつつあります。
★相手による、という点は否めません。家族は、目先の課題の「手当て」を望まれることが多いこと、サービス事業者も目先のケアを考えがちで、「根拠」というものへ関心が向かない傾向が強いという実感があります。
★家族より、「これがあれば、(仕事でサービス担当者会議に出席できない)夫に、あとで説明がしやすいです」とお話してくれました。サービス事業者より、「(デイサービスの)スタッフや登録のヘルパーさんへの、その人の全体像を伝えやすい」と言われました。

私自身、なかなか活用できているとは言い難いのですが、自分自身、介護保険サービスに関わっているという意識の変革を促していくためにも、アローチャートを描き続け、根拠を明確にしていく必要があると考えます。

根拠あるケアプランを作成するということは…。

根拠のあるケアプランを作成することは、利用者、家族が納得でき、サービス事業所も理解しやすいものであることが、アローチャートを用いてケアプランを作成している方々へのお話でわかりました。誰に聞かれても説明できるケアプランを作成できるということは、介護保険事業を理解してサービスを組み込めているということではないでしょうか。ケアマネジャーが作るケアプランで介護保険の破綻を防ぐことができるかもしれません。ケアマネジャーが不要ともいわれる背景は、利用者・事業所とケアマネジャーの作成するケアプランの根拠が共有されていないことにより、現状の給付が適正なのかが判断できないことにあると思われます。つまり、適正な給付だということをケアマネジャーがどこに対しても提示することができるのであれば、必要不可欠な存在になるということだといえるということです。明らかにほかの資格に頼るよりも、確実にケアマネジャーが根拠を表現できるようになることが社会問題の解決の糸口だとすると、ケアマネジャー不要論ではなく、根拠を表現できるケアマネジャー必要論ということが言えるのではないでしょうか。ケアマネジャーの専門性を遺憾なく発揮し、地域社会に認められるようにするためにも、ケアマネジャーのスキルをあげるように努力し続けなければならないと思います。 根拠のみえるケアプラン、誰にでも説明できるケアプラン、その方の生活を一緒に支えていけるケアプランを作成するケアマネジャーを目指します。

注)根拠あるケアプラン作成のために、アローチャートを必ず描かなくてはいけない、描けなければいけないというものではありません。根拠を説明する一つのメソッドということで、今回取り上げさせていただきました。

投稿者@memi

そうだ!学会に行こう!
ってことで、第2回アローチャート学会に参加希望の方は、
下のかっちょいいフライヤーをクリック!!
神奈川大会フライヤー01

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です