ショートストーリー~「あやとり」~
祖母はあやとりが上手だった。
取り方や形を教えてもらっては、
友達に披露していた。
あれから何十年も経つので
今はできるかどうか分からない。
先日、入院している
祖母の見舞いに行った。
眠ってはいるが
手にふれると指が動く。
何かを掴もうと
しているようにも見える。
あやとりができる状態で
ないことは知っている。
それでも、次に行く時は
持って行ってみよう。
「あらぁ、上手にできたねぇ」
昔のように声が出ればいいなぁ。
いや…
その言葉を
私が聞きたいのかも知れない。
(おしまい)
※物語はフィクションです。
by Dee