引き揚げ
5歳の息子の手を絶対に離さないようにねって、おばあちゃんによく頼んで、
私はその後ろから背中と両手に家族5人分の食べ物を持って、
歩いて歩いてやっと港までたどり着いた。
イタガキに船で着いた後、汽車に乗って柳井まで。
先頭の方の車両でね、屋根なんかない貨物車みたいなものだから石炭の燃える煤で真っ黒になる。
駅に着いたら顔を洗って、また歩いて、また船に乗って…。
家に帰るのに1週間かかったんよ。
帰ってからがまた大変だった。
あれから70年。
正月は孫やひ孫14人が集まってくれた。
来年は100歳になるよ。楽しみだね。
(投稿者@まるあ)