都会で暮らしてみたかった。
それが大学に入った理由だ。

もちろん、勉強したいこともあり
就職にも有利かなという思いもあった。

しかし農家の長男である僕は、
跡を継ぐという宿命を背負って生まれた、
と言っても過言ではないだろう。

どちらかと言うと、弟は子供の頃から
父を手伝っているので、そのまま継いで
くれれば良いと思っている。

「大学!?そんなもん行かんでもええ!
家を継げ、家を!」

高1の夏、大学に行きたいと言った時の
父のセリフだ。

その勢いに「嫌だ」とは言えず、
色々な理由をつけて進学希望を伝えた。

そんな大学生活も、卒業後の就職を
考える時期が来た。

跡を継ぐとも継がないとも言わず
ここまで来てしまったが、
田舎に戻ることは考えていない。

バイトが終わって夜の12時、
アパートに帰るとポストに電報が…

父からだ。

「時々で良い。
母さんには、
顔を見せに
帰って来いよ。」

(おしまい)

※物語はフィクションです。

by Dee