路地裏

355-himawarinohana

路地裏にある小さな居酒屋を前に、

彼は、一瞬立ち止まり、深く息を吸って、そしてふっと姿を消した。

何十年も通い慣れた店の引き戸は、麻痺が残っている手でも簡単に開けること

ができた。

 

脳梗塞の後遺症があるから、バスに乗れない、電車に乗れない、お金の支払いができないなんて、

誰が決めることができるだろう。

専門職の意見はどれも否定的だったが、

「やってみなければわからない。」と彼は思い続けていた。

そして、実現した。

店内は何も変わらなかったけれど、彼が二年間、入院やリハビリをしていた分、

なじみの友人たちはそれぞれ年を重ねていた。

歩いて来れなくなった分、タクシーを使う友人もいた。

シャッター街にある居酒屋で周囲の静けさをよそに彼は久しぶりに笑った。

(投稿者@marua)

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