ショートストーリー~「手品」~
部長の隠し芸は手品である。
いつも宴会などで披露するのだが
ネタがバレバレなのだ。
「赤い玉が2つあります。」
と言いながら、3つ目が
指の間から見えている。
そんなのはまだ可愛いほうで
前回は100円玉を千円札に変えようとして
途中で100円玉を落としてバレたので
合計1100円になってしまった。
そんな、人間味のある手品を
私達も楽しみにしていた。
その部長も定年を迎えることになった。
最後の出勤日。
皆で花束と記念品を買って
部長に手渡した。
いつものように明るい部長だが
なぜかこっちが泣けてきた。
「ここにハンカチがあります。」
私の前に来て、ポケットからハンカチを
取り出して広げた。
「これは涙を笑顔に変える
インドの不思議なハンカチです。」
(おしまい)
※物語はフィクションです。
by Dee
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