ショートストーリー~「苦瓜」~

お義母さんに対して、
どちらかと言うと苦手意識を持っていた。

何でもズケズケとものを言ってくる。
それに対して何も言えず、
つらい思いをしていた。

しかし、一緒に暮らすようになってから
状況は一変した。

お義母さんが変わったのではない。
私も同じように言えるようになったのだ。

キッカケは、
ある日買い物に行ったスーパーで
お義母さんが嫌いなものを
私がカゴに入れた時

「そんなもの食べるのかい?」
「はい、栄養価が高くて健康に良いですから」
「ふーん、わたしゃ食べないよ!」

とは言っていたが、夕食に出すと
残さず食べてくれた。

「味はどうでしたか?」
「あまり美味しいもんじゃないね」
と、感想は言ってくれたが
それは私に対する嫌味ではなかった。

その時気付いた。
今までお義母さんも、
私のことを思って
色々言ってくれていたんだと…。

思い返せば全てそうだった。

それ以来、何でも言えるようになり
距離が近くなったように感じた。

しかし、もう…

年齢からすると
「天寿を全うした」
と言うことになるのだろう。

お義母さん
早く気づけなくてごめんなさい。

苦瓜を美味しく料理できなくて
ごめんなさい。

たくさんの愛情ありがとう。
これからも見守っていて下さい。

あなたの娘として…。

(おしまい)

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※ストーリーはフィクションです。

by Dee


 

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