ショートストーリー~「レコード」~
針を降ろす時の緊張感
時々発するノイズ
今はもう見かける事さえ
なくなってしまったが
レコードをかけていた頃は
じっくりと
音楽を聴いていたように思う。
もちろん、
振動を与えると針がとぶので
ゆっくりしか動けなかったが
それがかえって
良かったのかも知れない。
今はいつでもどこでも
好きな音楽を聴くことができる。
それはそれで便利だ。
便利であるがゆえに
あの不便さが懐かしいのかも知れない。
お小遣いを貯めて
初めて買ったレコードは
何度も何度も
繰り返し聴いていた。
じっと耳を傾け
時間が経つのも忘れていた。
(おしまい)
※ストーリーはフィクションです。
by Dee