地域のなかで【7】
平成40年前半頃…
私の住む町を走る高速道路(無料区間)が完成予定。
今年度中には、橋脚を建てるための工事に関わる仮設道路を整備するらしい。
自宅の真横に完成予定の仮設道路…地権者への話はこれから始まる…予定。
自宅の真横には、ゲートボール場がある。
私が小学校の頃に作られたもので、もう30年になるだろうか。
地域の後期高齢者が週に2日、午前中の3時間ほど練習をしている。
最高齢は92歳の男性。
春にはゲートボール場横の桜で花見をし、年末年始には忘年会や新年会と言いながら弁当を食べては盛り上がっている。
草がよく伸びるこの時期には、皆で手分けをして草を抜き、いつも整備には手をかけている。
先日は、自治会主催で大会が催された。
7歳から92歳までが参加、歳の差なんと85歳。
普段は仕事などでゲートボールをすることがない現役世代も参加したのだが、高齢者チームに勝てるわけもなくコテンパンにやられるのである。
前述の仮設道路施工場所。
ゲートボール場全体が対象となる。
「代替地の確保を。」
誰もが強く訴えた。
ゲートボール場の利用者以外も一緒だった。
地権者への話もまだ始まっていないのに…
1面しかないゲートボール場
草は生えるし、凸凹もあるゲートボール場
水道もなければトイレもないゲートボール場
風を遮るものもなく、冬は火を焚きながらのゲートボール場
少ない時には5人しかいないゲートボール場
普段利用していない人たちにとっても、大切な場所だった。
独居や高齢者世帯、腰が曲がって杖とスティックを両使いの人もいる。
地域の高齢者が元気で過ごしているかどうか、ゲートボール場を見れば分かったし、その姿を見て勇気をもらうことだってある。
高速道路ができれば、通勤時間は大幅に短縮される。
自家用車移動が当たり前の地理環境のため、利便性は高い。
迂回路が限られている地域にとって、災害時や緊急時に高速道路が果たす役割も大きい。
高速道路が担う機能が重要なのは事実。
ただ、
「わしらはみな死んどる。」
「高速道路を走る前に三途の河を泳いどる。」
大きな笑い声と一緒に聞こえる声も事実。
広報部@若頭