ショートストーリー~「在る」~
一本の松があった。
それまで気にすることはなかったが、
ある日を境にその存在は
私の中で大きな意味を
持つようになった。
何十年もの間、
自然の脅威にさらされながらも
深く強く根を張り
その場所に在り続けている。
大きな台風が去り、街を歩いていると
枝が折れ、樹皮が剥がれていた。
“傷付くのは人間だけじゃないんだ…”
今さらながらそんなことに気付いた。
毎日の細やかなことに
一喜一憂するのが人間なのかも
知れないが、この松のように
凛とした姿でありたいと、
そう思った。
(おしまい)
※ストーリーはフィクションです。
by Dee