ショートストーリー~「景品」~

職場の歓迎会があった。
新入社員は緊張の面持ちで
挨拶をしていたが、

周りの先輩職員にイジられ
それはそれで盛り上がっていた。

しかし、大人しいというか
ノリが悪いというか

静かに人の話しを聞いているだけで
積極的に輪に入ろうという
気持ちが伝わってこないのだ。

“最近の若い人はこうなんだよなぁ~”

と、思うようになった私は
立派なおばさんだ。

中盤に差し掛かった頃、
お約束のゲームが始まった。

今日はじゃんけん大会。

一番勝った人から三番目までが
景品が当たる。

“よーし、見てろよ若造!
大人の盛り上げ術を!! ”

酔っ払って訳の分からないことを
ひとりつぶやいた。

「さーいしょーはグー
じゃーんけーん ダァー!!」

猪木のポーズをした。
ウケた。
しかも、グーで勝った。

2回戦。
「さーいしょーはグー
じゃーんけーん ヤァー!!」

ダチョウ倶楽部をした。
スベった。
そして、パーで負けた…。

酔っ払いおばさんは
気配を消すかのように
静かになった。

ダブルのショックを受けたので
仕方がない。
明日には皆が忘れていることを願おう。

帰り際、若造が声を掛けてきた。

“え、私?何?もしかして…”

おばさんの淡い妄想は
一言で断ち切られた。

「これ、どうぞ」

三番目の景品でもらったという、

二日酔いに効くドリンクだった。

(おしまい)

ACマークパズル

※ストーリーはフィクションです。

by Dee


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