ショートストーリー~「花火」~
夏の楽しみのひとつが花火だった。
花火大会の大きなものや
どこかに飛んでいく花火ではなく、
手に持って眺める花火が好きだった。
夏休みに祖母の家に遊びに行くと、
いつも手に持つ花火を用意していてくれた。
それを祖母と二人で楽しんでいる時が
小学生だった私にとって
一番幸せを感じていた時間かも知れない。
私に子供ができた時には
祖母はすでに他界していた。
一緒に楽しむことはできないが、
いつもあの時間を想い出しながら
娘と花火をしている。
そういえば、誰かが言ってたなぁ。
“祭りや花火は先祖の供養”だと。
もしそうだとしたら
次の夏は少し多めに用意しておこう。
祖母が私を待っていてくれたように。
(おしまい)
※物語はフィクションです。
by Dee
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