ショートストーリー~「壁」~

「家庭の事情」と言えば良いのか、
子供の頃のことは
あまり思い出したくない。

自分の居場所がなく
分かってくれる人もおらず
いつも一人だった。

正確に言えば「ヒト」は居た。
しかし
心が通じる「人」ではなかった。

だからといって
いじわるをされたり
嫌なことをされる訳では
なかった。

ただ、目に見えない
何かがあった。

いつしか私は
自分の壁を築いていた。

その中では自由に
そして笑顔でいられた。

誰にも壊されたくなくて
もっと厚く
もっと高い
壁を築いていった。

今にして思えば
変わった子供だっただろう。

大人たちが壁を壊そうと
すればするほど
強固にしていった。

そしてとうとう
笑顔でさえも
いられなくなった。

久しぶりに
カーテンを開けた。

目に飛び込んできたのは
オレンジ色の朝日だった。

築いた壁が
すーっと融けて消えた。

(おしまい)

ACM-P

※ストーリーはフィクションです。

by 丸刈りった


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