子供は独立して県外へ。

夫婦とも後期高齢者となり、身体にガタがきてはいたがペットの猫を可愛かがりながら仲良く過ごしていた。

夕方になると、外へ遊びに出かけた猫を迎えに出かけ、近所の猫にも餌を与えては可愛がっていた。

そんな生活を夫婦仲良く続けていた。


そんな時、県外で生活していた子供夫婦も定年を迎え、故郷である実家へ帰ってきた。

遠方で生活していた子供が親の面倒を見るために帰ってきた。

過疎化が進み、空き家が増えて行く地域にとって、とても微笑まし光景に見えた。

猫がいなくなるまでは。

アレルギーなのか嫌いだったのか…

この日から猫が家に帰ることが許されなくなった。

行き場所を失い食べるものを手に入れるとこができなくなった猫は混乱し、泣きわめていたが…そのうちに姿を見せなくなった。

不思議なことに、家族四人の活気が蘇るはずだった家には静けさが続いた。

徘徊の発生

しかし、地域の皆は分かっていた。

徘徊ではない。

猫を探しているだけ。

だから、誰もその行動を無理には止めようとしない。

「こんにちは。」

「今日は暑いね、猫ちゃんは日陰で休んでるかね?」

など、声をかけながら行き先を見守る。

誰が言い始めたわけでもない。

ただ分かっているだけであった、猫を探しているのだと。

ここに生まれ、ここで育ち、ここで年をとる。

そのなかで家族のように、いや家族以上に分かることがある。

小さいな小さな地域だけど、みんなが認知症サポーターのような。

気がつけば、そんな地域に住んでいた。
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広報部@若頭

 

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