備前住香平【4】
目をさますと、たくさんの点滴とモニターが視界に入った。
(ん?なんだこりゃ?)
全身に痛みがはしり、思うように体が動かない。
「分かる?分かるね?聞こえてる?」
看護師が肩をたたきながら、声をかけた。
(か…可愛いw)
と思いながら、首をたてに振る。
「ちょっと待っててね♪」
笑顔を残して消えていった。
そこからは医師や看護師がバタバタと私のまわりに集まり、何が何だかわからない状態だった。
「若頭さん、あなた車で事故を起こしてね、ずっと意識がなかったのよ。覚えてる?」
医師からそう告げられた私は、
(事故?俺が?どこで?さっぱり分からん…)
首を横に振ることしかできなかった。
「そうか、覚えてないか。うん、分かった分かった。」
そう言い残して去って行った。
(事故をした?何のことだろうか…)
そう考えているうちに、再び眠ってしまった。
どのぐらい時間が経ったのだろう、
「若頭さん、ご家族の方が来られましたよ!みんな心配されてましたよぉ。」
先ほどの看護師の声で目が覚めた。
(あ…やっぱり可愛いw)
そんなことを考えていると、女性が2人立っている。
「奥さんと、お母さんが来られましたよ。」
看護師がスッとその2人をベッドサイドへ案内する。
「気がついた?分かる?大丈夫?」
機関銃のように話す2人を見て、
「だ…誰ですか?」
その場が一瞬にして沈黙になり、モニターの音だけが響いた。
同時に、若頭の闘病生活のスタートを知らせる音であった。
>>>続く
まだ備前住香平を手にしていない...むか~し、むかしのお話。
広報部@若頭