備前住香平【11】

結局、どうやったんだろう。

何をしたのだろう。
退院してからというもの、そうとうバタバタをした日々を過ごしたのだと思う。

周りをそうとう振り回したのだと思う。

大変なこともあっただろう。

でも、いつの間にか全てを思い出していた。

日常の生活は事故を起こす前とほとんど変わらないまでになっていた。

自分自身、何がどうなって記憶がつながったのか、思い出したのか…

全く覚えていない。

脳自体には異常がなかったのだから、当たり前なのだろうが、もとに戻った…

まぁ、細かいことは良いんじゃない?と自分では思っている。


小学校の同級生たちと酒を飲みながら昔話になると、

「ん?そんなことがあったか?」とか、

「…分かんねぇ〜┐(‘〜`;)┌」

みたいなことがある。

しかし、周りも事故のことは知っているので、気にしない。

ので、思い出そうともしない。

主治医が言った、

「今を生きてる。」

この言葉に何度助けられてきたのだろうか。


いつの日か、再会をしたいものである。

行こうと思えば行ける病院なのであるが、行ってない。

「何しにきたの?ここ病院だよ?」

と追い返されそうな気がして、足が向かないのである。

再会、その時がくるまでは自然の流れにまかせておこうと思う。

今を生きているのだから。

ー終わりー
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